口腔カンジダ症について
口腔カンジダ症は免疫機能の低下などによる真菌(Candida albicans)の日和見感染とされています.主な症状はヒリヒリした疼痛や味覚異常です.その病態に応じて,大きく3つにわけられます.
偽膜性口腔カンジダ症(鵞口瘡)
口腔粘膜,舌粘膜,その他の粘膜表面の白色の膜を特徴とします.これを拭いとると発赤した粘膜面があらわれ,出血することもあります.
紅斑性口腔カンジダ症(萎縮性口腔カンジダ症)
舌背部,口蓋粘膜,頬粘膜の紅斑が特徴です.義歯の清掃が不良で義歯を外すと,義歯の形にそって粘膜が発赤をともなっているような場合もこれが原因です.ときに偽膜性口腔カンジダ症で偽膜のはがれたときに生じることもあり,口角炎をともなうこともあります.
白斑性ないし結節性口腔カンジダ症(肥厚性カンジダ症)
慢性で隆起性病変として出現し,透明の白色病変から高密度で不透明,硬い斑状を示します.時に腫瘍との鑑別が必要になり,生検を要することもあります.
義歯の装着は口腔カンジダ症の発症のリスク因子となります.それ以外にも以下のようなリスク因子があります.
A:免疫力の低下など全身的なもの
①悪性腫瘍で化学療法や放射線療法を受けている患者
②骨髄移植など移植をうけた患者
③シェーグレン症候群,粘膜類天疱瘡などの自己免疫疾患や口腔扁平苔癬などでステロイド投与を長期間受けている患者
④HIV感染患者
⑤高齢者
B:口腔乾燥などの局所的なもの
①口腔内びらん・潰瘍
②口腔乾燥
③義歯
④口腔内の清拭が不十分で不衛生な状態
カンジダ症は含嗽程度で治癒するものもありますが,抗真菌薬の投与が必要になることもあります.抗真菌薬は他の薬剤との相互作用が多くありますので,投与の際は他に内服薬がないかチェックすることが重要です.