粘液嚢胞の治療|元町歯科診療所のコラム

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コラム

粘液嚢胞の治療

粘液嚢胞の治療

先日粘液嚢胞の患者さんがいらっしゃいまして切除しましたので,粘液嚢胞について記述したいと思います.


「粘液嚢胞とは」

小唾液腺のあるところではどこの部位でも発症しますが,特に下唇の口角側に多いといわれています.舌尖部下面にも好発するが,これは前舌腺が関係したもので,Blandin-Nuhn嚢胞ともよばれます.本症は外傷や炎症などの導管の損傷により粘液が結合織内に溢出し,貯留して成立するものと考えられ,粘液溢出嚢胞(mucous extravasation cyst)とよんでいます.年齢的には10歳未満から30歳代までにほぼ均等して多く,性差は基本的にはなくほとんどが下唇に発症します.

治療法は摘出ですが,原因となっている小粘液腺を同時に切除する必要があります.教科書によっては1本の切開線で摘出できるように書いてあるものもありますが,粘液嚢胞は口唇粘膜と必ず連続しているので,被覆粘膜の一部をつけて切除する必要があります.切除〜縫合まで局所麻酔で10分程でおわります.術後の注意点として麻酔がきいているので,口唇を誤咬しないようにしなければなりません.そのため,私は作用時間の短いスキャンドネストやシタネストなどの麻酔をもちいることが多いです.

 

最近はより侵襲のすくない方法として「微小開窓法」という治療法が提唱されています.

「微小開窓法とは」

1995年にMortonが初めて報告した方法.絹糸を囊胞腔に穿通させ囊胞壁上で,縫合糸,絹糸に接する囊胞壁の瘢痕治癒によって形成された開窓孔によって開窓効果を得るもの.適応症例は内容液が透視できるような被覆粘膜の薄い囊胞で,誤咬や術後の再発例で瘢痕化し,囊胞壁が厚くなっているような症例は適応外になります.

一見簡単そうですが,糸が早期に脱落してしまったりすることが多いようで,コツがあるようです.個人的には粘液嚢胞は摘出で充分とおもいますが,ガマ腫には有効な治療法ではないかとおもいます.