地域の口腔がんを考えるシンポジウムに参加しました
12/3(日)に地域の口腔癌を考えるシンポジウム(佐賀県版)に参加しました.本シンポジウムは口腔がん撲滅委員会(http://www.oralcancer.jp)が主催するものです.
座長は佐賀大学医学部口腔外科の山下教授で,基調講演は東京歯科大学の柴原教授がお話をされました.ちなみに私にとっては,柴原教授は専門医試験の際の面接官をなされた先生で厳しい質問をうけた記憶が....
それはさておき,同シンポジウムは日本全国を縦断しておこなわれているシンポジウムで,口腔がんの日本の死亡率は46.1%と欧米の19.1%とくらべても非常に高い.原因として進行がんで発見されることが多い.そのため,歯科医院での口腔がん健診をすすめましょうという内容でした.講演自体は一般歯科医でも理解しやすいように口腔がんの特徴,また健診の有効性についてわかりやすく解説されておられました.
口腔がん撲滅委員会は健診において蛍光観察装置を診断の補助にもちいること,境界病変の診断を一般開業医が診断することが難しいことが想定されることからインターネットで写真をおくって東京歯科大学の口腔外科専門医がその写真をみてコメントするナビシステムの利用を推奨していました.蛍光観察装置は私も大学でつかった経験がありますが,診断の補助として有効なものではありますが,診断をくつがえすほど劇的な判定結果が得られるものではないこと,また,いわゆる紅斑型のがんでは有効ですが,いちばん判定したい白斑型のがんではあまり有効ではないこと,機器が高額で一般開業医での導入は困難であることが難点です.ナビシステムは口腔外科のトレーニングされていない先生にとっては良い方法だと思います.
口腔がん撲滅委員会のHPでは口腔がん健診を5000〜10000円でおこなっていることが多いと書かれています.蛍光観察装置が高額なため,そのような機器を設置,使用する場合,やむを得ないことと思います.当院では蛍光観察装置はまだ導入していませんが,診療終了時に口腔外科専門医による肉眼での口腔がん健診を無料でおこなっています.
口腔がんの発見はそれほど難しいものではありません.かかりつけの歯科医院で年1〜2回の定期健診をうけ,その際に歯科健診と粘膜健診をうけようにしてください.口腔がんは早期発見できるがんです.早期がんの場合の治癒率(5年生存率)は90%をこえるものです.
セルフチェックも有効です.口腔がんのセルフチェック(日本口腔外科学会)をぜひされてみてください.https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/selfcheck/table/